ニセ科学フォーラム2008

学習院大のニセ科学フォーラム2008に行ってきました。以下、とりとめのない雑感です。


会の趣旨は、実際のニセ科学(いんちきな健康商品とか、科学風のスピリチュアルとか、陰謀説までいろいろ)と、その弊害の実例(マスコミやネットから、環境運動、医療現場、教育現場、政治まで)を上げなから、「何でこうなっちゃうんだろう?」「どうしたらいいだろう?」と考える、というもの。
私は特に科学好きではないんですが、自分でも普段から「なんでだろう?」ってぼんやり思う事そのままなので、公開講座を聴きに行くような気分で参加しています。(個人的に、主催の菊池先生の日記を別件で愛読してたので、ミーハー根性もちょっとある。)
正直、今まで友人知人にこの話題を振ってみた限り、あまりいい反応が無いので(引かれたり、暇人扱いされたり)、畑違いな私が書いてもな〜って思うところもあるのですが……。でもまあ、話の内容はすごく興味深かったし、同じ興味を持つ人にささやかな情報提供が出来ればいいなと。(とはいえ、ほんとに雑感です。)

  • 2006年にも行ったので、今回で2度目の参加でした。
  • 講演されたのは、菊池誠先生(大阪大の物理の教授)、田崎晴明先生(学習院大の物理の教授)、ゲストで医師の小内亨先生。
  • 菊池先生は概論、田崎先生も教育の話など問題の根っこの方の話をされているので、話が大きすぎてとっつきが悪かったり突っ込みにくい内容だったのに対して、小内先生は対症療法的なお話(いんちきの見分け方とか)(詳しい事は、小内先生のサイトや著作や他参加者のレポートで〜)だった事もあって、質疑応答も活発で、参加者の反応が良かったような気がします。
  • あと、菊池先生・田崎先生の時は、どうしても内輪な雰囲気。(楽屋ネタがいちいち受けてたり。)(研究者業界内の人にしか分からない言い回しが多かったり。)
  • とはいえ、(普段から対一般人の仕事をされてる)小内先生と同じように教授達も振る舞ってくださいっていうのも無理な注文なので、そういう事担当の人が別に必要な気がしました。
  • 田崎先生のお話での「科学はトリビアの集まりではない」は、なるほどー。
  • そういえばフォーラム前日にたまたま、「パソコン初心者には、パソコンの仕組みそのものよりも、すぐ使えるtipsの方が大事」っていう話をKさんとしてたのを思い出した。
  • とっかかりは切れ切れの情報(トリビアやtips)の丸暗記でも、扱っているうちに繋がりが分かって来て脱初心者するはずが、そうならない人がすごく多い、つまり訓練が全く足りてない、どうやったら訓練機会が増やせるのかっていう話……かな。
  • 科学に限った話ではなくて、「物事を気分だけで捉えずに、筋立てて考える力」の訓練かなあ。周囲を見てても、学歴や文系理系はあんまり関係ない気がする。
  • 2006年のフォーラムで、「都市で暮らす人よりも、未開地で暮らす人の方が科学的な感覚を持っている、文明が発達して生活が快適になって行くほど、個々人の自然科学的な観察力や判断力は落ちて行く」っていうジレンマの話を(確かこれも田崎先生が)してたのが印象に残ってます。
  • そういえば『雪は天からの手紙』にも、中谷先生が雪山案内人のマタギの人を「彼は素晴らしい科学者」と絶賛するくだりがあったっけ。
    雪は天からの手紙―中谷宇吉郎エッセイ集 (岩波少年文庫)

    雪は天からの手紙―中谷宇吉郎エッセイ集 (岩波少年文庫)

  • 肥満の問題と一緒で、体も頭も、生活の中で動かす機会が無いなら、意識して運動するしかないって事ですよね〜……。
  • 日本人は議論下手(議論をする機会が生活の中に乏しいので、論理的なやりとりをするようなスキルが身につかない)っていう話を、以前どこかでしたのも思い出した。
  • 他所の国ではどうしてるのかなあ。←これはフォーラムで聞いてみれば良かったと、後で気がついた。
  • フォーラム主催者では、左巻健男先生が教育の専門家なので、頑張ってください!と思いました。
  • 小内先生が講演の〆に引用されてた本は、そういえばうちにも積んであるので、今読んでる本が終わったら読もうかな。
    わたしたちはなぜ「科学」にだまされるのか―ニセ科学の本性を暴く

    わたしたちはなぜ「科学」にだまされるのか―ニセ科学の本性を暴く

  • 討論の時間帯に、隣のMさんが「賛成派しか居ないんじゃ討論じゃないっ」と言っていた。それは反対派の人が来て発言してくれないとどうにもなりません……。
  • それでも第1回の時よりは、参加者の幅が広がってたと思う。(人数は大分増えて、会場もグレードアップしてた。)
  • フォーラム後の懇親会では、名古屋から来たという90歳代のおばあさま(びっくりするくらいお元気)とお話したり。科学好きのお孫さんに連れてこられたのだとか。面白かったですか?と聞いたら、「最初の2つはよく分からなかったけれど、お医者さんのお話がとても良かった」というような事を仰ってました。
  • 菊地さんのテルミンがまた聴けたらいいなと思っていたので、懇親会でライブが用意されてて嬉しかったな。(そもそも私は、ニセ科学じゃ無くてテルミンで菊池さんの日記に辿り着いた口なので。)最後の、サンプリングを重ねながらの独演がオモシロかっこよかった。
  • フォーラムでID理論の話が出て来て思い出したけど、そういえば最近読んだ小説で『竜とわれらの時代』がすごく面白かった。おすすめです。現実でも、こんな風に科学と社会が繋がったら、ほんとにすごく素敵だけどな〜。
    竜とわれらの時代 (徳間文庫)

    竜とわれらの時代 (徳間文庫)


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ニセ科学フォーラム2008@学習院大学(小池靖の心理・文化・そして社会学):私のだらだら雑記より、ずっとすっきり分かりやすいです。